あの頃の私は、増配株に乗り換えれば万事解決だと思っていました。
2025年末から始めた高配当株投資。
1ヶ月目の反省を経て、「高利回りを無理に追うより、連続増配株の方が自分には合っている」という結論に辿り着きました。
そこまでは良かったんです。
ただ、増配株を眺めていて、あることに気づいてしまった。
「これ、TOPIXとほとんど同じじゃないか?」
そこからインデックスに戻るまでは、わりとあっけなかった。
この記事は、高配当株投資を始めて数ヶ月、試行錯誤の末にインデックス投資に着地し直した私の記録です。批判でも後悔でもなく、「自分には合わなかった」という話として読んでもらえると嬉しいです。
「そもそもどうしてインデックス→高配当株に?」はこちらに書いています。
リベ大の基準で始めた、50銘柄分散という理想
高配当株投資を始めるにあたって、私はリベ大の教えを忠実に守ろうとしていました。
30〜50銘柄に分散、利回り3.75%以上を基準に銘柄を選ぶ。理屈としてはよくわかります。1銘柄が減配や暴落しても、ポートフォリオ全体への影響を小さくする。そのための分散です。
ただ、実際にやってみると、管理が思った以上に大変でした。
銘柄数が増えるほど、決算チェックの対象も増えます。「この会社、そういえば最近ニュースになってたな」と気になって調べ始めると、あっという間に時間が溶ける。
しかも、焦って銘柄数を増やそうとするあまり、根拠の薄い銘柄まで買ってしまっていました。1ヶ月目のヤマハ発動機の件は、まさにその典型です。
それに、「理想は50銘柄」というリベ大基準もよくよく聞いてみると「日経高配当50ETFが50銘柄だから」という話で。これだけでは根拠がよくわからなかったので調べてみました。
現代ポートフォリオ理論の研究でも意見が分かれているようで、
- 15〜20銘柄で十分(古典的研究)
- 50銘柄以上推奨(後続研究)
- 低相関を意識して選べば、少数銘柄でも分散になる
ということのようです。
私は管理の大変さから、50銘柄持つことはやめて、セクター分散を意識しながら20銘柄まで絞っているところです。
税引き前利回り3.75%基準についても、相場によっては該当銘柄がほとんどない時期があります。高配当株を集めていた今年(2026年)の1月、米国株の強さや解散総選挙の影響で日本株はイケイケで、全体的に配当利回りが下がっていました。
こちらの記事では、NISA利用なら非課税のため利回り3.5%以上という私なりの基準を紹介しています。
本来なら「投資先がなければキャッシュで待つ」が正解なのですが、インデックス投資と二刀流でやっている私には、これが難しかった。
キャッシュが余っていると、インデックスに入れたくなってしまうのです。
「高配当株脳」と「インデックス脳」は、実は相性が悪い。どちらかに徹するなら迷わないのに、両方やろうとすると、どちらの判断基準でお金を動かせばいいのか、常に迷子になってしまいます。
中小型株は「板が薄い」という現実

もうひとつ、身をもって知ったことがあります。
リベ大では「個人投資家が高配当株投資をするなら、ある程度中小型株もポートフォリオに組み込む必要がある」と言われています。
日本大型株が全体的に高くなってきた今では、中小型株の方が高配当・割安です。私も高配当株チェックリストに基づいて厳選した中小型株をポートフォリオに組み込みました。
最初は値動きが少なくて安心感がありました。日経平均が3000円動いても、自分の持ち株はほとんど動かない。「これが安定株か〜」と思っていました。
ところが、この「株価の動かなさ」には安定以外の理由がありました。中小型株は流動性が低いんです。
それを実感したのが、成行注文を出したのに刺さらなかったときです。何が起こっているのかわからなくて、後で調べたら「本当に売り物がなかった」ということでした。10株程度の単元未満の注文でさえ、そういうことが起きる。大型株では考えられない話です。
これ、いざ「会社が倒産しそうだ」となった時のことを思うととても怖くなりました。売りたい人が殺到して買いたい人がいない。あっという間にストップ安になってしまうでしょう。
もちろん中小型株=大型株より危険、と言いたいわけではありません。日本の中小型株には、むしろ大型企業よりも財務健全だったり、誰にも負けない技術を持っている企業がたくさんあります。それに、ちゃんと銘柄チェックを行えば、近い将来倒産する可能性の高い会社は避けることができます。
でも、長く持っている間に事業の基盤が崩れたり、何か重大な事件が起こって売らなければいけない場面もあるかもしれない。そんな時に、中小型株の「板の薄さ」は致命的になるかもしれないと感じました。
増配株に乗り換えたら、TOPIXが見えてきた
高配当株の難しさに直面しながら、私が次に向かったのが増配株でした。
利回りは2〜3%台と高配当ほどではありませんが、毎年少しずつ配当が増えていく銘柄を選ぶ。商社、金融、インフラ系の日本大型株が中心になります。アラサーの私にはまだ時間がある。今すぐ高い配当が必要なわけじゃない。
それなら、今は利回りが低くても、長期で増配が期待できる財務健全な銘柄の方が自分のステージに合っていると思いました。
ところが、増配株を並べていくうちに、ふと気づいてしまいました。
構成銘柄を見ると、TOPIXのETFとほとんど変わらない。
三菱UFJ、三菱HCキャピタル、三菱商事、NTT……。増配が期待できる大型の優良株を選んでいくと、自然とTOPIXの主要銘柄に収束していきます。
オルカンなどの内部再投資型の投資信託と違って、ETFは配当が出るんですよね。これを再投資するか、受け取って使うかは自分の匙加減で行えます。
増配株のように連続増配をしているわけではないですが、YOC(取得単価あたりの配当利回り)で考えれば利回りは自然と上がっていく。長期的に配当を育てたい自分の目的には十分です。
「だったら最初からTOPIXでよくないか?」
その問いに、正直なところ反論できませんでした。
日経高配当50ETFではなくTOPIXを選んだ理由
インデックスに戻ると決めてから、どのETFにするかも少し迷いました。
「日経高配当50ETF」という選択肢もあります。高配当株に絞ったETFなので、配当利回りは高め。ただ、構成銘柄を見ていくと、どうしても引っかかるところがありました。
自動車セクターにトヨタが入っていない。銀行セクターに三菱UFJが入っていない。業界トップを押さえていないポートフォリオは、なんとなく落ち着かない。アクティブ運用のため、信託報酬もTOPIX ETFより高めです。
それならTOPIXの方が、余計な不安を抱えずに持ち続けられると思いました。
米国高配当ETFを選ばなかった理由
米国高配当ETF(VYMやHDV, SCHDなど)も候補に上がりましたが、こちらはNISA内で買うと二重課税の問題があります。
米国で10%課税されても、NISA内では取り戻せない。
取り戻すには、特定口座で買って確定申告をする必要があります。かといってNISA枠が余っているのに特定口座で買う気にもなれない。
米国高配当ETFについては、リタイアが近づいて、NISA枠が埋まってきたら改めて考えればいい、という結論にしました。
個別株をやったからこそ、わかったこと

インデックスに戻ってきた今、この数ヶ月を後悔しているかというと、そうでもありません。
個別株に手を出したからこそ、インデックスの優位性が頭ではなく腹で理解できました。賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶと言いますが、「賢者のふりして歴史だけ学ぶ」より、腹落ち感の方が大事だと思っています。
失敗しても大怪我しないリスク管理をしながら、まず経験してみる。それが自分には合っていました。
それに、個別株をやっていなければ、これほど経済のことを勉強しなかったと思います。
SQ日って何だろう、先物取引やオプション取引の仕組みはどうなっているんだろう、空売りとは何か。自分ではやらないけれど、気になって調べていました。戦争が起きたときに影響を受ける銘柄と受けない銘柄、米国市場と日本市場の相関、原油先物の値動きと株価の関係。
経済オンチだった私ですが、今では株式市場のことになればたっぷり1時間は語れると思います。笑
意外な発見もありました。ある飲食業の会社が、コロナ禍でもほとんど影響を受けていない。調べてみたら、実は厨房機器のメンテナンスが主業だった。そういう「企業の中身」を知る面白さは、インデックス投資だけをしていたら一生気づかなかったかもしれません。
NISAで個別株は、実は相性が悪かった
インデックス投資をNISAでやる分には、ほぼ問題がありません。何があっても、資本主義が滅びても、損切りする必要がないからです。
ところが個別株になると話が変わります。
「この株、持ってみたけど、自分の考えと合わないかも」と思っても、NISAでは損切りしても損益通算ができません。特定口座なら他の利益と相殺できますが、NISAでは含み損は含み損のまま、枠だけが消費されます。
実際に整理を進める中で、含み益が乗っているものと含み損のものをセットで売却したことがあります。心理的な損益相殺のつもりですが、NISA内では税務上の意味はありません。それでもそうしないと踏ん切りがつかなかった。
30銘柄あったものを、今は17銘柄まで減らしました。含み益で卒業できたものも、残念ながら損切りになったものも。今の方針に合わないものは、少しずつ手放しています。
長期投資のつもりが、いつの間にか短期トレードの罠

イラン情勢が緊迫してきたとき、私はポートフォリオを商社(資源系)と金融(保険)に寄せました。今のところはそれで正解でしたが、毎日ニュースをチェックして、持ち株への影響を考え続けなければならない。
影響を受ける銘柄、受けない銘柄、受け方の違い。インデックス投資だけをしていた頃には気にもしなかったことを、否応なく調べるようになりました。精神的なコストはありましたが、これはこれで得たものでもありました。
それに、最初は関係ないと思っていた内需株にも影響が出始めて。地政学リスクは思わぬところまで波及します。
「ディフェンシブ」の意味も考えさせられました。一般的に、内需・小売・生活必需品は金融ショックに強い「ディフェンシブ」ですが、石油ショック・円安状況下では輸入中心の内需株の方が影響が大きい。景気敏感とされる商社・金融の方が逆に底堅い動きをしていました。
高配当株では「いかに安く仕込むか」も重要。だから、日経平均が下がった時「チャンス!」と思って買い向かって行きました。実際、インデックス投資をしていたときはこれで成功していたんです。ただ、個別株の場合「日経平均が下がっても自分の狙っていた株は割高」ってこともありました。
長期投資のつもりで始めたはずが、いつの間にか短期トレードに近い動き方になっていました。これはあるあるだと思いますが、自分がそうなるとは思っていなかった。
そして今は、半導体関連ばかりが上がっている局面。日経平均やTOPIXが上がっているのに、自分の持ち株だけがお通夜状態、という日が続いています。インデックスなら「淡々と積立」「余裕があれば買い足し」でOKなのですが、個別株だと「なんで自分のだけ…」「ナンピンする?ホールド?それとも売るべき?」というストレス・判断コストが発生する。これが地味にきつかったです。
マネーフォワードでの表示も、個別株だと銘柄ごとにプラスかマイナスかが表示されるんですよね。投資信託なら、その中の何が下がっているか見えないのに、個別株だと「どの株がプラスで、どの株がマイナスか」「いくら利益・損失が出ているのか」がはっきりわかります。

インデックスがマイナスになっていても、持っていればいずれ上がることは歴史が証明してくれていますが、個別株だと「何年も下がり続ける」なんてザラにあって。
しっかり分析して自信を持って選んだ銘柄ですから、「倒産するかも」「今すぐ売らなきゃ」なんて思わないけど、NISAの枠を含み損銘柄に使っていると思うとモヤッとします。それに、TOPIXがしっかり上がっているのを見ると、インデックスに入れていれば得られたはずの機会損失も気になってきました。
一方、5年前から続けているインデックスの方はちょっとやそっとの下落では含み損にならない。上がっても下がっても淡々と買い増しするだけ。この「市場全部が詰まった含み益バリア」の安心感を、改めて実感できたのも収穫でした。
まとめ|リベ大は悪くない、でも「自分に合う投資」は自分で探すしかない
今回の迷走を経て、リベ大の発信が間違っていたとは思っていません。
ただ、リベ大の基準には両学長自身の好みや経験が反映されています。「利回り3.75%以上」「30〜50銘柄分散」「中小型株中心」は、両学長にとっての最適解であって、全員に当てはまるわけではない。それは両学長自身も繰り返しおっしゃっていることです。
自分に合う投資は、結局自分で探すしかありませんでした。
今の私はTOPIX ETFに少しずつ軸足を移しながら、個別株を30銘柄から20銘柄へと整理している途中です。完全にゼロにするつもりはありませんが、メインはインデックスに戻ってきました。
インデックス投資は、誰がやっても同じ成績が出ます。それを「つまらない」と感じてリベ大の高配当株投資に飛び込んだ私が、一周回ってその「誰がやっても同じ」という部分に価値を見出しています。
迷走したこと自体は無駄じゃなかった。でも、同じ道を歩もうとしている人には、こう伝えたいです。
高配当株投資は、インデックスより手間がかかります。その手間を楽しめるかどうかが、続けられるかどうかの分かれ目だと思います。
NISAを始めて5年間の軌跡はこちら。
我が家では夫もNISAを始めました。夫や妻にもNISAをやってほしい方はこちら。





