「将来の安心は手に入れた。でも、今の生活はちっとも変わっていない……」
インデックス投資を始めて5年。
アラサーになり、老後資金のシミュレーションに目処がついた私が、次に求めたのは「今この瞬間の手応え」でした。
なぜ、理論的最適解であるインデックス一本の状態から、あえて効率の落ちる高配当株投資を始めたのか。
その詳しい経緯と決意については、
こちらの記事(インデックス派の私が高配当株投資を始めた理由)
で詳しく綴っています。
あれから1ヶ月。
理想を胸に「自分年金」作りをスタートさせた私を待っていたのは、インデックス投資では決して味わえなかった、個別株ならではの「楽しさ」と、想像以上に手厳しい「洗礼」の数々でした。
憧れの船乗り気分で買った銘柄から、
ニュースを見て震えた銘柄まで。
1ヶ月経ってようやく見えてきた、高配当株投資の「理想と現実」をありのままに書き残しておこうと思います。
はじめに|なぜこのタイミングで高配当株なのか?
私が高配当株投資を始めたのは、一言で言えば
「将来の安心は確保できたから、次は今の生活に手応えが欲しくなった」
からです。
インデックス投資を5年続けてきたことで、
アラサーの私にとって、老後資金の目処が立つという「土台」が完成しました。
若いうちから運用を始め、時間を味方につけられたことが大きな安心感に繋がっています。
※インデックス投資を5年続けた際のリターンや、それによって私の「投資への向き合い方」がどう変わったかを振り返っています。
数字上の豊かさと、生活の実感
インデックス投資の結果、画面上の資産額は着実に増えていきました。
けれど、いくら評価額が増えても、日々のランチが豪華になるわけでも、家計が楽になるわけでもありません。
「将来のために今を我慢し続けるだけでいいんだろうか?」
そんな、インデックス投資一本では解決できなかった「今の生活の彩り」を求めて、キャッシュフローを強化する高配当株投資への併用を決めました。
詳しい動機についてはこちらの記事に書いた通りですが、今回は実際に始めて1ヶ月経って見えてきた、理想と現実のギャップについてお話しします。
最初の一歩は「夢」と「憧れ」の銘柄から
高配当株投資を始めるにあたって、私が最初に選んだのは「日本郵船」でした。
なぜこの銘柄だったのか。
利回りの高さはもちろんですが、実は私の中に「かつて船乗りになりたかった」という小さな憧れがあったことが影響しています。
結局その道には進みませんでしたが、海を渡り、世界の物流を支える大きな船への愛着は今も消えていません。
「自分が好きだと思える企業のオーナーになり、その利益の一部を分けてもらう」
これこそが高配当株投資の醍醐味だと感じ、少し高揚した気分で購入ボタンを押したのを覚えています。
後で知りましたが、海運株は値動きが非常に激しく、本来なら「初心者向け」とは言い難い銘柄だそうです。

今は地合いがいいためか、激しい値動きはまだ経験していませんが
これからどんな荒波が来るかと思うとドキドキしますね。
でも、買ったからには頑張って持ち続けたいと思います。
「買う」対象が、モノから株に変わった
高配当株投資を始めてから、日常の景色が少しずつ変わり始めました。
これまでは、スタバで新作のフラペチーノを買うのが大好きでした。
でも今は、
「スタバの株価は今いくらだろう?」
「インフレでみんな節約志向だけど、お店の売上はどう推移しているんだろう?」
と考えるようになっています。
高配当株投資を始めるにあたって、それほど収入が多いわけでもない我が家では固定費を削減して資金を捻出しています。
具体的な方法についてはこちらの記事で詳しくまとめています。
以前なら、単なる「消費」で終わっていたものが、
今は「投資のヒント」に見える。
この視点の変化は、私にとって大きな発見でした。
コンビニに寄ったときもそうです。
「ファミリーマートの株を見てみよう」と思ったら、すでに上場廃止していて伊藤忠商事のグループに入っていたことを知る。
そんな、教科書には載っていない生きた知識が、自分の生活圏内からどんどん増えていく。
インデックス投資だけをしていた頃は、経済ニュースを見てもどこか他人事でしたが、今は「自分の持ち船(銘柄)」がある。
その感覚が、私を少しだけ社会と繋げてくれているように感じています。
少ない資金で「プロ並みの分散」を目指す戦略
高配当株投資を始めるにあたって、
私が取り入れたのが「単元未満株」の活用です。
通常、日本の個別株は100株単位(単元)での購入が基本ですが、
そうなると一つの銘柄に数十万円というまとまった資金が必要になります。
限られた予算の中でそれをやろうとすると、どうしても数銘柄に資金が集中してしまい、
万が一その企業に何かあった時のダメージが大きすぎると考えました。
そこで私は、1株から購入できる仕組みを利用して、
少額ながらも徹底した分散投資を試みることにしました。
「30〜50銘柄に分散せよ」という教えを、自分のできる範囲の資金で再現しようとしたのです。
1株ずつ、多くの業種に種をまく。
これなら、特定の銘柄が急落しても、ポートフォリオ全体への影響は最小限に抑えられます。
「資産額は小さくても、考え方はプロと同じように分散を効かせる」
そんな理想を掲げてスタートした私のポートフォリオ。
しかし、この「とにかく分散させなきゃ」という強い思いが、皮肉にも次のセクションで書くような「焦り」を生むことになってしまいました。
「株欲しい病」が招いた、2つの手痛い洗礼
高配当株投資を始めると、多くの人が通ると言われる「株欲しい病」。
私も例外なく、その洗礼を受けました。
「早くポートフォリオの銘柄数を増やさなきゃ」
「分散を効かせなきゃ」という焦りが、冷静な判断を曇らせてしまったのです。
この1ヶ月で経験した、2つの大きな反省について書いておこうと思います。
ヤマハ発動機の「高利回り」に目がくらんだ失敗

最初に失敗したと感じたのは、ヤマハ発動機でした。
高配当株の王道としてよく紹介されている銘柄ですし、配当利回りの高さも魅力的です。
ただ、購入前に自分で指標を確認した際、営業キャッシュフローが安定せず、時折赤字になっているのが少しだけ気になっていました。
本来なら、その違和感を大切にすべきだったのです。
ところが、「みんなが勧めているし、利回りもいいから大丈夫だろう」と、自分の直感よりも他人の評価を優先してしまいました。
結果は、その後に発表された減収減益と減配。
株価は10%以上も急落しました。
自分の分析の甘さを、数字で突きつけられた瞬間でした。
KDDIの不正会計問題で学んだ「事件は売り」の重み

もう一つは、KDDIです。
子会社の不正会計のニュースが出た際、私は「子会社の話だし、本体の業績への影響は限定的だろう」と判断して購入しました。
しかし、その後に出てくる情報は、想像以上に深刻な架空取引の実態でした。
投資格言に「事件は売り、事故は買い」という言葉があります。
突発的な災害などの「事故」はリバウンドが期待できますが、企業の信頼に関わる「事件(不正)」は別物です。
結局、少し株価が戻ったタイミングでトントンで売却できましたが、確信を持って持てない株を保有し続けるストレスは、相当なものでした。
焦って銘柄を増やすことの危うさ
高配当株の鉄則として「30〜50銘柄以上に分散すべき」という教えがあります。
私もその教えを守ろうと焦りました。
しかし、今のように株価が上がっているタイミングで無理に銘柄数を増やそうとすると、どうしても「買うに値しない銘柄」までポートフォリオに入れてしまいがちです。
ボロ株を掴んで資産を減らすくらいなら、最初は5〜10銘柄程度からじっくり始め、納得できる水準まで株価が下がるのを待つべきだった。
それが、この1ヶ月で得た大きな教訓です。
今は、配当利回りが2%台の、少し「攻め」の銘柄も検討するようになりました。
日経平均が上がる中で置いていかれたくないという焦りもありますが、無理に高利回りだけを追うのではなく、増配が期待できるような自分の納得感が高い銘柄を探していきたいと思っています。
「高配当」の裏にある「難あり」な現実
個別株を自分で分析し始めて気づいたのは、高配当株にはどこか「難あり」な子が多いという現実でした。
利回りが4%も5%もある銘柄を詳しく見ていくと、
「この業種、将来的に先細りじゃないか?」
「配当性向が高すぎて、無理して配当を出していないか?」
と、何かしらの不安要素が見えてくるのです。
当初の私は、
「インデックスが資産を増やす役割なんだから、個別株は高利回りに特化して配当を増やす役割に徹しよう」
と考えていました。
理論上は、それが一番効率的な組み合わせのはずです。
しかし、実際に「難あり」な高利回り株を保有してみると、その不安要素がストレスになり、
- 株価を頻繁にチェックしてしまったり
- 少しでも含み損になると損切りしたくなったり
- 逆に少しでも株価が上がると利確したくなったり
してしまいます。
一方で、利回りは2%台と控えめでも、業績が安定していて増配が期待できる「優良株」を見ると、そちらの方がずっと安心して持っていられることに気づきました。
「効率を求めて始めたはずなのに、結局は利回りの低い株を買っている。これって矛盾してない? 」
「感情に支配されているだけなんじゃないの?」
自分自身にそうツッコミを入れたくなる瞬間もあります。
でも今の私にとっては、数字上の「最高効率」を追うことよりも、
「納得して、夜ぐっすり眠れる銘柄を持つこと」の方が、
投資を長く続けるためには重要なことだったのです。
高利回りという「数字」に飛びつくのではなく、自分の心がざわつかない銘柄を選ぶ。
この試行錯誤こそが、インデックス投資という「無機質な正解」から一歩踏み出した私が今まさに学んでいることなのだと思います。
投資信託を組み合わせるという選択肢も
私はコストにはかなりシビアな方です。
高配当株投資を検討したときも、
「インデックスならまだしも、高配当株はアクティブファンド。信託報酬を払う価値があるの?」
と、冷ややかな目で見ていました。
しかし、実際に個別株の洗礼を受けてみて、考えが少しずつ変わり始めています。
高配当株ファンド+個別株のハイブリッドという現実的な解
「信託報酬がもったいない」という気持ちは、今も変わりません。
でも、焦って無理に銘柄数を増やそうとして、「ボロ株」を掴んでしまうくらいなら、プロが選定・分散してくれる高配当株ファンド(ETFや投資信託)をポートフォリオの土台にするのは、決して悪い選択ではないと思うようになりました。
- 個別株: 自分が本当に納得できる5〜10銘柄に絞り、応援する気持ちで保有する(買い物欲を満たす)。
- 投資信託・ETF: 幅広く分散されたファンドを土台として持ち、ポートフォリオ全体の安定感を出す。
このように、「自分で選ぶ楽しみ」と「プロに任せる安心感」を組み合わせるハイブリッドな戦略こそが、私のような初心者には現実的で、長く続けられる形なのかもしれません。
すべてを自力でやろうと気負いすぎず、コストと安心感のバランスを自分なりに探っていこうと考えています。
まとめ|感情と投資判断を切り離す難しさ
高配当株投資を始めて1ヶ月。
一番の収穫は、利益の額よりも
「自分がいかに感情に左右されやすいか」
に気づけたことかもしれません。
インデックス投資では「気絶」していればよかったものの、個別株ではそうはいきません。
毎日画面を見ては、心のどこかでこんな感情が渦巻いています。
- 「株欲しい病」: あれもこれも欲しくなる。なんだか良さそうというだけで買いたくなる
- 「置いていかれる恐怖(FOMO)」: 株価が上がる中、現金を持っているのが不安で高値づかみをしていないか?
結局、投資判断を狂わせるのはいつも、こうした「感情」でした。
1ヶ月目の私が出した答え
今の私が、スタート直前の自分にアドバイスするなら、迷わずこう伝えます。
「感情と投資判断を切り離せ」
言うのは簡単ですが、実践するのは至難の業です。
だからこそ、今は「一度に完璧なポートフォリオを作ろうとしない」ことを自分に言い聞かせています。
日経平均が大きく上がる中で、取り残されたくないという思いから配当利回り2%台の株に手を出してしまうこともあります。
それが高値づかみになるリスクもあれば、将来の増配で「成長と配当の二重取り」になる可能性もあります。
正解が分からないからこそ、無理に多くの銘柄に手を出して失敗するより、自分が安心して持ち続けられるスタイルを、時間をかけて探していくつもりです。
走りながら、自分なりのスタイルを見つける
始めてわずか1ヶ月で、投資の結果を判断するのは早計ですよね。
ヤマハ発動機やKDDIでの苦い経験も、今の自分にとっては必要な授業料だったのだと思います。
「効率」だけを求めるならインデックス一本で十分。
でも、試行錯誤しながら自分の資産を育てていく感覚は、個別株投資にしかない面白さです。
これからも、自分の「感情」という厄介なパートナーとうまく付き合いながら、少しずつ「自分年金」を育てていこうと思います。
効率だけでは語れない、私が「インデックス+高配当」の併用を選んだ本当の理由はこちらの記事にまとめています。
投資の目的は、結局のところ「どう暮らしたいか」に繋がります。わが家の生活費についてはこちら。



