夫・妻にNISA(ニーサ)を勧めてみたら、思った以上に嫌がられてしまった。
「投資は怖い」「よく分からない」「面倒くさい」
そんな反応が返ってきて、これ以上どう話を進めたらいいのか分からなくなった人も多いのではないでしょうか。
我が家も、夫はもともと投資に消極的で、手続きが苦手、面倒なことは避けたいタイプでした。
NISAの話をしたときも、決して前向きとは言えない反応でした。
それでも今は、ケンカになることなく、少しずつNISAの準備を進めています。
何か強く説得したわけでも、考え方を押し付けたわけでもありません。
この記事では、
投資が怖い夫にNISAを勧めるとき、我が家が実際に意識していた進め方を体験談ベースでまとめます。
私が独身時代からNISAを始めていた理由
私がNISA(ニーサ)に興味を持ったのは、大学生の頃でした。
当時はなんとなく「将来のお金って大丈夫なのかな」と思っていただけで、
すぐに投資を始めたわけではありません。
その後、コロナ禍になり、社会や経済の先行きが一気に不安になりました。
「貯金だけで本当に大丈夫なんだろうか」
そう感じるようになり、自分なりに調べて投資を始めることにしました。
この時はまだ独身だったため、その後夫婦でNISAを始めるということは頭にありませんでした。
色々調べて、自分の中で納得できたのでNISAを始めました。
実際に始めてみると、投資は「一気に大きなリスクを取るもの」ではなく、
自分のペースで、無理のない範囲で続けられるものだと感じるようになりました。
この感覚を、自分の中で体験として持てたことは、後になってとても大きかったと思います。
だからこそ、後から夫にNISAの話をするときも、
「やったほうがいいからやろう」という気持ちより、
「私はこう考えて、こう感じている」という話し方ができたのだと思います。
私自身は、結婚前からNISAを続けてきました。実際に5年間続けてみて感じたことは、こちらの記事にまとめています。
夫はNISAに消極的・怖いと感じるタイプだった
夫は、いわゆる「貯金をしっかり増やしていきたいタイプ」ではありません。
どちらかというと、お金は「あれば使う」タイプ。
口座にある程度お金が入っていれば、「今は困っていない」「お金が余っている」と感じるようです。
実際、夫にとっては、
口座に10万円入っていれば十分に安心できるラインらしく、
それ以上を将来のために積み上げていく、という感覚はあまりなかったように思います。
投資=怖い、できれば避けたいというイメージ
そんな夫にとって、投資はさらに距離のある存在でした。
「よく分からないものには手を出したくない」
「損をするかもしれないなら、やらないほうが安心」
そんな気持ちが強かったのだと思います。
手続きが苦手。面倒なことは後回しにしがち
加えて、口座開設や制度の仕組みなど、
細かい手続きが必要そうな点も、心理的なハードルになっていました。
NISAそのものよりも、
「調べる」「決める」「手続きをする」までの一連の流れが面倒に感じていたのかもしれません。
今振り返ると、
夫がNISAに消極的だった理由は、
「投資が嫌い」というより、
「分からないものに時間と労力をかけるのが不安だった」
という表現のほうが近い気がします。
だからこそ、最初から前向きな反応を期待してしまうと、
どうしても温度差が生まれてしまいます。
この前提を理解できたことが、
その後のNISAの話を進める上で、とても大きかったと思っています。
夫にNISAを勧めるときに伝えた考え方
投資に対して不安が強く、面倒なことは避けたい夫に対して、
どんな言い方をすればいいのかは正直かなり悩みました。
少しでも言い方を間違えれば、
「だから投資の話は嫌なんだよ」と距離を取られてしまいそうだったからです。
そこで私が意識したのは、
NISAの制度や細かい仕組みを説明することではなく、
考え方だけを共有するということでした。
具体的に伝えたのは、
この先インフレが進むと、
今持っている貯金の価値は少しずつ目減りしていく可能性がある
という話です。
銀行にお金を預けているだけでは安心とは言い切れない時代になってきている、ということも伝えました。
ただし、
「だから絶対に投資をしなきゃいけない」
「今すぐ始めないと損をする」
といった言い方はしませんでした。
夫にとって投資は、
「よく分からなくて怖いもの」です。
その不安を否定せず、
できる範囲で、少しずつでいい
というスタンスを大切にしました。
金額も、期間も、やり方も、
無理に決める必要はない。
途中で「やっぱり合わない」と感じたら、やめてもいい。
そのくらいの余白を残したまま話をしました。
結果として、夫はすぐに前向きになったわけではありません。
それでも、
「話を聞くこと自体を拒否されなかった」
という点では、大きな一歩だったと思います。
今思えば、説得しようとしなかったことが
夫にとっては安心材料だったのかもしれません。
夫のNISAへの反応と、嫌がられなかった理由
「手続きをやってくれるならいいよ」という反応
NISAの話をしたとき、夫の反応は決して前のめりなものではありませんでした。
返ってきたのは、
「じゃあ、手続きをやってくれるならやってもいいよ」
という、どこか上から目線にも聞こえる一言です。
正直、その言い方に少し引っかかる気持ちがなかったわけではありません。
でも同時に、
完全に拒否されたわけではなかった
という点では、意外でもありました。
普段からお金や経済の話をしていた影響
思い返してみると、ケンカにならなかった理由は、
このNISAの話だけにあったわけではない気がします。
普段から私は、経済ニュースで気になったことや、
自分がどういう考えで資産運用をしているのかを、
日常会話の中で少しずつ夫に話していました。
あくまで雑談レベルで、深く説明するわけでもなく、
「最近こういうニュース見たよ」
「私はこう思ってる」
という程度です。

逆に、仕事上の付き合いのある会社や業界の話を夫が教えてくれることもあります。
その積み重ねがあったからこそ、
NISAの話も「突然出てきた怪しい話」ではなく、
これまでの延長線上の話として受け止めてもらえたのかもしれません。
また、夫の反応に対して、
「なんでそんな言い方をするの?」
「ちゃんと自分で調べてよ」
と感情的に返さなかったことも、大きかったと思います。
ここでムッとしてしまえば、
お金の話そのものがタブーになっていた可能性もあります。
多少引っかかる言い方でも、
「まあ、今はこのくらいの温度感でいいか」
と一歩引いて受け止めたことで、話は前に進みました。
今振り返ると、
夫がNISAに同意した理由は、
内容そのものよりも、
安心できる空気感があったからだったように感じます。
夫のNISA口座開設は思った以上に大変だった
一気にやろうとすると疲れてしまう
NISAをやってみてもいい、という話になったあと、
次に待っていたのが口座開設の手続きでした。
正直なところ、ここが一番大変だったと思います。
夫はもともと、
書類を用意したり、画面の指示に沿って操作したりするのが苦手です。
口座開設の途中で
「これ、まだ続くの?」
「今日はもういい?」
と、疲れてしまうことも少なくありませんでした。
最初は、
「一気に終わらせたほうが楽かも」
と思って進めようとしたのですが、
それが逆効果だったと途中で気づきました。
手続き自体は難しくなくても、
慣れない作業が続くと、それだけで気持ちが重くなってしまいます。
特に、投資に前向きとは言えない状態だと、
少しの負担でも「やっぱりやめたい」という気持ちにつながりやすいようでした。
毎週少しずつ勧めている今の状況
そこで我が家では、
毎週少しずつ進める方法に切り替えました。
今日は本人確認書類の準備だけ、
次の週は入力作業の途中まで、
というように、無理のないペースを意識しました。
その結果、
「まだ終わってない」という焦りはあるものの、
「もう二度とやりたくない」という気持ちにはなっていないようです。
本格的にNISAを始めるのは来年になりそうですが、
今はそれでいいと思っています。
今振り返ると、
口座開設が進まないこと自体よりも、
途中で嫌になってしまうことのほうが問題だったのだと思います。
時間はかかっても、気持ちが止まらない進め方を選んだことで、
結果的にここまで来られました。
夫にNISAを勧めるとき、あえてやらなかったこと
NISAの話を進める中で、
「これはやらないでおこう」と最初から決めていたことがいくつかありました。
今思うと、それが結果的によかったと感じています。
まず、本やYouTubeを勧めることはしませんでした。
投資に興味がない状態で、
「この動画見て」「この本読むと分かるよ」と言われても、
それ自体が負担になってしまうと思ったからです。
おそらく、夫の中では
「勉強しなきゃいけないもの」
という印象が強くなってしまったはずです。
次に、熱量高めのプレゼンもしませんでした。
投資のメリットや将来のシミュレーションを並べて説明すれば、
理屈としては納得してもらえたかもしれません。
でも、それは同時に
「そこまでしてやらなきゃいけないの?」
という気持ちを生んでしまいそうでした。
また、他人と比べるような話もしませんでした。
「みんなやってる」
「やっていないのはもったいない」
といった言葉は、
かえって反発を生みやすいと感じたからです。
夫にとってNISAは、
まだ「前向きに検討したいもの」ではなく、
「よく分からなくて不安なもの」です。
その段階で背中を押しすぎると、
距離が広がってしまう気がしました。
だからこそ、
必要以上に勧めない、盛り上げない、急かさない。
そのスタンスを崩さないようにしてきました。
今振り返ると、
やったことよりも、
やらなかったことのほうが、夫婦関係にとって大切だった
と感じています。
焦らず進めて良かった、夫婦とNISAの話
交際期間中から振り返ってみると、
私たちはずっと、少しずつお金の話をしてきました。
決して腰を据えて話し合う場を作っていたわけではなく、
日常の会話の中で、ぽつぽつと話題に出していた、という感じです。
独身時代の夫は、
借金こそなかったものの、
いわゆる「宵越しの銭は持たない」タイプでした。
お金はあれば使うもの、という価値観がベースにあったと思います。
そこからいきなりNISAを始めようとしても、
抵抗があるのは当然だったのかもしれません。
だからこそ、最初は投資ではなく、
定期預金の積立から始めました。
リスクのある選択肢だけを提示しなかったことは、
今振り返ると大きかったと感じています。
夫のペースやリスク許容度に合わせて、
一段ずつ進んできたことで、
お金の話そのものがタブーにならずに済みました。
もしあのとき、正論を振りかざしていたら、
今の状況はなかったと思います。
NISAを始めること自体は、あくまで手段です。
それ以上に大切だったのは、
夫婦として納得しながら進めることでした。
焦らなくてよかった。
そう思えるのは、
時間をかけて向き合ってきたからこそだと思っています。
夫婦のお金の話は、NISAに限らず簡単ではありません。
こちらの記事では、収入差のある夫婦の家計管理について体験談をもとにまとめています。


